そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。私たち夫婦も、数年前までは想像もしていませんでした。
こんにちは。「CABIN KRAFT STUDIO」オーナーのTです。30代の工務店営業として日々お客様の家づくりをサポートしながら、私自身もつい先日、こだわりを詰め込んだ注文住宅を建てたばかりの「施主」でもあります。
今でこそ、ようやく落ち着いた新居で3人の子供たちと愛猫3匹に囲まれ、賑やかな毎日を送っていますが、実はここに至るまでには、私たち夫婦にとって大きな決断と、それに伴う様々な葛藤がありました。
今回のオーナーズログでは、なぜ私たちは「家があったのに新築を決断したのか」という、少し異例の家づくりについて、皆様に包み隠さずお話ししたいと思います。もし今、中古住宅にお住まいで、漠然とした不満を感じている方がいらっしゃれば、きっと何かしらのヒントになるのではないでしょうか。
中古戸建てがくれた「気づき」と「限界」

遡ること2020年、私たちは当時住んでいた賃貸マンションから、初めてのマイホームとして中古戸建てを購入しました。築20年ほどの、ごく一般的な木造住宅です。当時はまだ子供も一人もおらず、夫婦二人と愛猫たちとの暮らしには十分な広さで、庭付きという点も魅力的に感じていました。立地も良く、予算内で手に入ったこともあり、当時の私たちにとっては「理想の家」だったのです。
しかし、実際に暮らし始めて数年、そして長女、長男と家族が増え、やがて次男の誕生を控える中で、その中古戸建ては少しずつ、私たち家族のライフスタイルに合わなくなっていきました。
膨れ上がる光熱費と断熱性能の現実
まず、最も切実だったのが、目に見えて肥大化していく光熱費です。冬は暖房をつけても足元から冷気が忍び寄り、夏はエアコンをフル稼働させてもなかなか部屋全体が涼しくならない。住宅営業という仕事柄、断熱性能の重要性は理解していたつもりでしたが、実際に住んでみるとその差は想像以上でした。
特に子供たちが生まれてからは、室温管理への意識が高まります。冬の朝、子供たちが寒さに震える姿を見るたびに、古い窓から差し込む冷気や、壁の薄さが気になって仕方がありませんでした。もちろん、リフォームで断熱材を入れ直したり、窓を二重サッシにしたりといった選択肢も検討しましたが、その費用対効果を考えると、なかなか踏み切れませんでした。
- 冬の朝、室温が10℃を下回ることも頻繁
- 夏のエアコンは設定温度を下げても効かない
- 年間の光熱費が新築の3倍近くに膨らんでいた
家族の成長と間取りのミスマッチ
次に、子供たちの成長に伴う間取りのミスマッチです。購入当初は夫婦二人だったので、3LDKの間取りは十分すぎるほどでした。しかし、子供が3人になるとなると話は別です。
将来的に個室が必要になること、それぞれの収納スペース、そしてリビングで遊ぶスペース。これらを考えると、現在の間取りではどうしても手狭になってしまうことが明らかでした。特に、子供たちのプライベート空間と、家族が集まる共有空間のバランスをどう取るか。中古戸建てでは、壁の位置や構造上の制約が多く、理想の間取りへの大規模な変更は現実的ではありませんでした。
細かなストレスが積み重なる生活動線
そして、日々の暮らしの中で見えてきた、細かな生活動線のストレスです。例えば、洗濯機から物干し場までの距離、キッチンとパントリーの位置関係、子供たちの遊び道具の収納場所、そして愛猫たちのトイレや食事スペース。一つ一つは些細なことかもしれませんが、これらが毎日、何度も繰り返されるとなると、家事効率の低下や、心の負担へと繋がっていきます。
特に、子供が小さいうちは、家事と育児の両立が非常に大変です。少しでも家事の負担を減らし、子供たちとの時間を増やしたいと願う中で、現在の家の動線は、かえってストレスを増幅させているように感じていました。
「リノベーション」か「新築」か、夫婦の決断

これらの不満が積み重なる中で、私たち夫婦は真剣に「今後の住まい」について話し合うようになりました。最初は、愛着のある家を「リノベーション」して住み続けるという選択肢も当然考えました。
住宅営業として、リノベーションと新築、それぞれのメリット・デメリットは熟知しています。プロの視点から考えると、現在の築年数や構造、そして私たちが求める性能や間取りの大幅な変更を考えると、リノベーションにかかる費用が新築とあまり変わらなくなる可能性が高い、という結論に至りました。
特に、断熱性能の根本的な改善や、水回り設備の全面的な入れ替え、間取りの抜本的な変更を行う場合、表面的なリフォームとは異なり、費用はかなり膨らみます。さらに、中古住宅特有の予期せぬ修繕箇所が見つかるリスクも考慮すると、総額が読みにくいという不安もありました。
- コスト: 大規模リノベーションは新築と大差ない費用になることも。予期せぬ追加費用リスクも。
- 性能: 断熱・気密性能を新築同等にするには限界がある場合も。
- 間取り: 構造上の制約で、理想の間取りが実現できない可能性。
- 保証: 新築の方が長期的な保証が充実している。
- 将来性: 資産価値やメンテナンスコストを長期的に見た場合。
最終的に、私たちは「新築」を決断しました。それは、単に新しい家が欲しいという感情的な理由だけではありません。子供たちの未来、そして家族の健康と快適な暮らしを最優先に考えた、合理的な判断でした。
「どうせ同じくらいの費用がかかるなら、ゼロから自分たちの理想を形にしたい」という思いと、「今後何十年と安心して暮らせる、高性能でメンテナンス性の良い家に住みたい」というプロとしての視点が、私たち夫婦の意見を一致させたのです。
こだわりの新居で得た「90%の満足」と「10%の学び」

新築を決断してからは、住宅営業としての知識と施主としてのこだわりをすべて注ぎ込み、家づくりを進めていきました。私たちが特にこだわったのは、以下の点です。
- 高断熱・高気密: UA値0.26をクリアする断熱性能で、光熱費を大幅削減。冬暖かく夏涼しい快適な室内環境を実現しました。
- 家事動線: 洗濯→干す→たたむ→収納までを最短距離で完結できるランドリールーム兼ファミリークローゼットを設置。
- 家族の共有空間: 広々としたリビングダイニングは、子供たちが自由に遊び、家族全員がくつろげる大空間に。愛猫たちのキャットウォークも設置しました。
- プライバシーと独立性: 子供部屋は将来を見据え、個々の空間を確保しつつ、必要に応じて可変できるような工夫を凝らしました。
- 収納計画: 各所に適材適所の収納を設け、散らかりがちなリビングも常にすっきり保てるように設計しました。
- キッチンから眺められる書斎:書斎はどうしても削られがちですが、家族全員のワークスペースと考えればあると非常に便利。子供のスタディスペースとしても使用できるよう設計しました。
これらのこだわりを詰め込んだ結果、現在の我が家は、総合満足度で言えば「90%」です。中古戸建て時代に抱えていた問題はほぼすべて解消され、光熱費は劇的に下がり、何よりも家族みんなが毎日笑顔で快適に暮らせるようになりました。子供たちは広々としたリビングで元気いっぱいに遊び、愛猫たちもキャットウォークを駆け巡っています。
しかし、残りの「10%」は何かと問われれば、それは「ここはこうすべきだった」というリアルな失敗や後悔です。プロである私でさえ、自分の家づくりとなると、どうしても見落としがあったり、想像と違ったりする点が出てくるものです。
これらの「失敗」もまた、私にとって貴重な学びとなりました。お客様の家づくりをサポートする上で、「施主の目線」をより深く理解するための経験として、今ではポジティブに捉えています。
100%の家は存在しない。それでも98%へ。
今回の私たちの家づくりは、中古戸建てから新築へという、少し珍しい道のりでした。しかし、この経験を通して、私は改めて家づくりの本質を深く考える機会を得ました。
この世に100%完璧な家など存在しない、と私は考えています。毎日家を売っているプロである私でさえ、自邸の満足度は90%なのですから。しかし、これから家を建てる皆さんの満足度を「98%」にまで引き上げることは十分に可能です。
そのために私はこのCABIN KRAFTを開設しました。ただ、当サイトでは手取り足取りの細かなサポートは行いません。なぜなら、本当に納得のいく住まいを手に入れるためには、施主自身がしっかりと学び、知識を身につけることが不可欠だからです。
ぜひ、この場所を皆さんの「学びの場」として使い倒してください。住宅営業という仕事は、お客様の夢を形にする素晴らしい仕事ですが、同時に、お客様自身が賢い選択をするための情報提供も重要だと考えています。
なお、もし「具体的にどの工務店を選べばいいのか分からない」という方がいらっしゃれば、プロの目線で厳選した信頼できる工務店をご紹介することは可能です。お気軽にご相談ください。
次回は、我が家の具体的な間取りや、こだわりのポイントについて、もう少し掘り下げてお話ししたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
