工務店営業の私が挑んだ家づくり:プロでも直面した理想と現実の壁

「理想の家づくり」と聞くと、誰もが夢を描きますよね。しかし、住宅のプロである私でさえ、いざ自分の家となると、様々な理想と現実の壁に直面するものでした。

CABIN KRAFT STUDIOオーナーのTです。30代で、妻と3人の子供、そして3匹の愛猫と暮らしています。普段は工務店の営業として、お客様の家づくりの夢を形にするお手伝いをしていますが、実は先日、私自身のこだわりをすべて注ぎ込んだ注文住宅を建てたばかりなのです。

プロとして数多くの家を見てきた私だからこそ、自分の家づくりには並々ならぬ情熱を傾けました。しかし、どれだけ知識や経験があっても、一施主として直面する悩みや葛藤は尽きないものです。今回は、私が家づくりで特にこだわったポイント、そしてプロの目線から見ても「ここはこうすべきだった」と後悔した部分について、包み隠さずお話ししたいと思います。

目次

中古戸建てから新築へ:ライフスタイルの変化がもたらした決断

Cozy modern living room with three children playing and two cats napping

もともと私たちは2020年に中古戸建てを購入し、そこで暮らしをスタートさせました。当時はまだ子供も少なく、新婚生活を楽しむには十分な広さだったのです。しかし、人生とは予測不能なもので、その後、長女(2021年生まれ)、長男(2023年生まれ)、次男(2025年生まれ)と、立て続けに家族が増えていきました。さらに、3匹の愛猫たちも加わり、気づけば家中が賑やかな生命で溢れかえるようになりました。

家族が増える喜びはひとしおでしたが、住まいにおいては様々な問題が顕在化していきました。まず、最も頭を悩ませたのが「光熱費」です。中古戸建ては築年数もそれなりに経っていたため、断熱性能が低く、特に冬場は暖房をつけっぱなしにしないと底冷えするような寒さでした。夏の冷房も同様で、電気代の請求書を見るたびに、ため息をついてしまうほどだったのです。

次に、子供たちの成長に伴う「収納不足」です。おもちゃや絵本、衣類が増え、気づけばリビングは常にモノで溢れかえっていました。猫たちのキャットタワーも増え、どこに置くべきか悩む日々。いくら片付けてもすぐに散らかってしまう状況に、妻も私もストレスを感じていました。また、キッチンからリビング、そして子供部屋への動線が非効率で、日々の家事がスムーズに進まない細かなストレスが積み重なっていったのです。

住宅営業として数多くの家を見てきた私だからこそ、「もっとこうすれば快適になるのに」という思いが募っていきました。そして、家族の成長と、目に見えて肥大化していく光熱費、そして日々の細かなストレスが積み重なり、「新築」を決意することになったのです。

私の書斎計画:LDKとの連携と、家族との距離

Modern home office nook connected to an open-plan living room with natural light

私の家づくりにおいて、最も譲れなかったこだわりの一つが「書斎」でした。仕事柄、自宅で作業をすることも多く、集中できる環境は不可欠です。しかし、同時に3人の子供たちと愛猫に囲まれた賑やかな生活の中で、完全に閉じこもってしまうのは避けたいという思いもありました。

「LDKと繋がった書斎は、本当に集中できるのだろうか?」と、静かに自問自答する夜もありました。

理想は、キッチンから子供たちの様子が見える場所。妻が料理をしている時、子供たちがリビングで遊んでいる時、その気配を感じながら仕事ができる空間です。しかし、ただオープンにするだけでは、仕事に集中できない可能性もあります。リビングの一角にオープンな形で設けるか、それとも完全に独立した部屋にするか。このバランスを見つけるのが、非常に難しかったのです。

「完全に閉じこもってしまうと、子育てに参加しづらくなるわよ」と、妻がポツリと言った時、ハッとさせられました。

プロとして、構造やコスト、動線効率を考える一方で、父親としてのリアルな葛藤がそこにはありました。最終的に私が選んだのは、LDKの一角に、壁で緩やかに仕切られた半個室型の書斎です。

我が家の書斎の工夫
  • 半個室型デザイン: LDKとの視覚的な繋がりは保ちつつ、壁で緩やかに仕切ることで独立性を確保しました。完全に閉鎖的ではないため、家族の気配を感じながら仕事ができます。
  • 室内窓の活用: 壁LDKに面した箇所にはLIXILのデコマドを採用。おしゃれな雰囲気とLDKとのつながりをもたせてくれます。
  • 機能的なデスクと照明: 長時間の作業でも疲れにくいよう、造作デスクの高さや奥行き、そして手元を明るく照らすタスクライトの配置にもこだわりました。

この書斎は、家族との繋がりを保ちつつ、仕事にも集中できる、まさに私の理想を形にした空間となりました。しかし、それでもなお、一つだけ後悔している点があります。

書斎の窓位置の後悔
唯一の後悔は、窓の位置です。設計段階では採光と壁面の収納を優先しすぎてしまい、もう少し外の景色が楽しめるような配置にすればよかったと、時折感じます。美しい庭や空を眺めながら仕事ができたら、もっと気分転換になったのではないかと、今になって思うのです。これは、プロとしての視点に、施主としての「心のリフレッシュ」という視点が少し欠けていたのかもしれません。

理想と現実の狭間で:パントリーと収納計画のリアル

Organized modern kitchen pantry with various food items and kitchenware

パントリーもまた、私の家づくりで重要なキーワードでした。中古戸建て時代、食品ストックや日用品の置き場に困っていた経験から、新居では広々としたパントリーを確保したいという強い希望があったのです。

理想はウォークインタイプで、冷蔵庫も中に収め、買い溜めした食材や災害備蓄品もすべて収納できるような、ゆとりのある空間でした。しかし、限られたLDKの広さや、家事動線を考慮すると、なかなか難しい現実がありました。

「このパントリーのサイズで、本当に家族5人分のストックが足りるのだろうか…」と、何度も設計図を見ながら悩んでいました。

プロとして、予算と間取りのバランスを常に意識していましたが、自分の家となると、やはり「妥協」という言葉の重みをひしひしと感じるものです。何を残し、何を諦めるのか。その選択は、想像以上に難しいものでした。

パントリーの妥協点と後悔
最終的に、私は通路型パントリーを選択しました。決して狭いわけではありませんが、当初思い描いていたようなゆとりのある空間とは少し異なります。特に、災害備蓄品や季節ものの家電を収納するには、もう少し奥行きがあればと感じることもあります。プロとして、もっと早い段階で収納物の総量を具体的にリストアップし、それに合わせたスペースを確保すべきだったと反省しています。優先順位を明確にし、どこまでなら妥協できるかを家族と徹底的に話し合うべきでした。

パントリーの妥協があった分、各所の収納計画にはより一層力を入れました。子供たちの成長とともにモノは増える一方ですし、猫たちのグッズも意外と場所を取るものです。いかに効率よく、かつ美しく収納できるか。これは、住宅営業としてお客様に提案してきたノウハウをすべて注ぎ込んだ部分でもあります。

我が家の収納計画の工夫
  • ファミリークローゼットの設置: リビング近くに家族全員で使えるファミリークローゼットを設けました。衣類だけでなく、子供たちの学用品や趣味の道具、さらには猫のケア用品まで、一箇所に集約することで、リビングが散らかるのを防いでいます。
  • 玄関土間収納の活用: ベビーカーや外遊びのおもちゃ、雨具、そして猫の散歩グッズなど、外で使うものを効率よく収納できるよう、広めの土間収納を設けました。汚れたものもそのまま置けるので、非常に重宝しています。
  • 造作棚とデッドスペースの活用: 各部屋の壁面やなど、デッドスペースになりがちな場所には、寸法に合わせて造作棚を設けました。これにより、空間を無駄なく活用し、将来的なモノの増加にも柔軟に対応できるよう工夫を凝らしています。
  • 可変性のある収納: 棚板の高さが変えられる可動棚を多用し、子供たちの成長やライフスタイルの変化に合わせて、収納の形を柔軟に変えられるようにしています。

収納は、ただモノをしまう場所ではなく、日々の暮らしを快適にするための重要な要素なのだと改めて実感しました。適切な収納計画は、家族のストレスを軽減し、家事の効率を格段に向上させる力があるのです。

90%の満足度:プロが語る「完璧ではない家」の価値

こうして完成した私の家は、総合満足度で言えば90%といったところでしょうか。プロとして、お客様には「100%満足」を目指していただきたいと常に願っていますが、私自身が建てた家でさえ、やはり「ここはこうすべきだった」という点は正直に言って存在します。

しかし、この「10%の未達成」があるからこそ、残りの90%の満足度がより輝いて見えるのかもしれません。完璧な家など存在しない、と私は日々の仕事を通して感じています。それでも、この家は私たち家族にとって最高の場所であることに変わりはありません。

朝、窓から差し込む光で目覚め、開放的なLDKで家族と朝食を囲む。子供たちがのびのびと遊び、猫たちが日向ぼっこをする姿を見るたびに、この家を建てて本当によかったと感じます。高気密高断熱のおかげで、光熱費も以前の中古戸建て時代と比べ物にならないほど抑えられ、快適な室温が一年中保たれています。何よりも、以前感じていた細かなストレスが解消され、家族みんなが笑顔で過ごせる時間が増えたことが、一番の喜びです。

私の家づくりは、プロとしての知識と、一施主としての感情が入り混じった、まさに「理想と現実の壁」に挑む物語でした。この経験を通して、私はお客様の家づくりに対する共感と理解を、より一層深めることができたと感じています。

まとめ:CABIN KRAFTが目指すもの

この世に100%完璧な家など存在しない、と私は考えています。毎日家を売っているプロである私でさえ、自邸の満足度は90%なのですから。しかし、これから家を建てる皆さんの満足度を「98%」にまで引き上げることは十分に可能です。

そのために私はこのCABIN KRAFTを開設しました。ただ、当サイトでは手取り足取りの細かなサポートは行いません。なぜなら、本当に納得のいく住まいを手に入れるためには、施主自身がしっかりと学び、知識を身につけることが不可欠だからです。ぜひ、この場所を皆さんの「学びの場」として使い倒してください。

なお、もし「具体的にどの工務店を選べばいいのか分からない」という方がいらっしゃれば、プロの目線で厳選した信頼できる工務店をご紹介することは可能です。

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